RTSパフォーマンスファクター

   

 交通安全は、新しい問題ではないため、規格では、発展途上国に配慮し、先進国を中心とした先行的な知見を整理し、選択すべき『RTSパフォーマンスファクター』(交通安全管理指標)を体系的に例示しています。

 

 規格の中間安全成果ファクターでは、道路交通安全を改善させる要素を10のカテゴリーに分け、リスク低減のためのヒントが網羅されており、これらをきちんと網羅することで,基本的にはリスクをもれなく把握することができるようになっています。

 ※ 『カタログ』と呼ばれることもあります。

 

 なお、例示された指標では不十分な場合は、追加の指標を設定することができ、フレキシビリティが確保されています。

 3つ(暴露最終、中間、最終安全成果)のパフォーマンスファクターを参照することで、リスク評価をしつつ、目標および詳細目標を決めて実施していきます。

 
 

※ 規格要求事項

 会社は、組織の状況(箇条4)及び特定したリスクと機会を鑑みながら、規格の挙げる以下の「リスク暴露ファクター」、「最終安全成果ファクター」、「中間安全成果ファクター」リストの中から、採用するRTSパフォーマンスファクターを決定すること

 

リスク暴露ファクター 

(リスク発生要因)

 

道路交通衝突事故が発生するリスク要因を分析し

(死亡・重大な負傷を壊滅するための障害・ハードルとして何があるかを分析し)

       

最終安全成果

ファクター

 

安全管理に関する最終目標を設定し

 

 

    

中間安全成果ファクター

 

実施する安全対策を決定する

 

a) リスク暴露ファクター・・・最終安全ファクター達成を阻害するリスクや障害(ハードル)

(組織によって影響を受ける・受けないに関わらず)

  • どんな車両を有しているか
  • どの位の距離を走行するか(交通手段ごと)
  • 道路交通量は多いか
  • 組織が取り扱う製品やサービスの量(積載量など)

 

b) 最終安全成果ファクター・・・安全管理に関する最終目標

(例)死亡者及び重大な負傷者の数

 

c) 中間安全成果ファクター・・・安全対策のカタログ集

  道路交通安全を改善させる要素を、4要素(道路・車両・人・救急処置)10分類に分け記載されています。

 また、これらをきちんと網羅することで、基本的にはリスクをもれなく把握することができるようになっています。

 

 リスク分析時、このリストの中から要因/対策を抽出することになります。

  ※ 当然、複数の選択もあります。

ヒヤリハット、事故報告

 ( 交通事故リスク )

 

中間安全成果ファクターの選択

 (要因/対策の抽出)

雨の日の夕方、XX交差点を左折の際、

ライトの照り返しでよく見えず、

自転車通行帯を直進してきた無灯火の自転車と接触しそうになった

 

 

1.道路設計と安全な速度の設定  事故を防ぎます

4.気象状況を考慮した安全運転速度 遵守で事故を防ぎます。

 

◆◆ 中間安全成果ファクター 詳細 ◆◆

1.道路設計と安全な速度の設定

  
  • 道路設計に応じた安全な速度で走行することにより、事故は減らせます。

( 歩行者との分離状況や、自転車通行帯、一般構造物などのサイドエリア、交差点の状況などを考慮)

・自動車と歩行者の分離ができない混在使用の道路では安全速度を徹底する

・交差点での安全速度を徹底する、   など)。

 

2.適切な道路の利用

 
  • 車両タイプ、利用者、貨物と機材の種類に応じた、適切な道路の利用で、事故は減らせます。

・大型車は狭い道路には出入りしない

・歩行者が多い道路には出入りしない

・危険物を積載している車両がある道路には出入りしない    など。

 

3.個人用安全装備の使用 

 
  • 人身安全装備の装着で身体の安全性を確保できます。
  • 個人用安全装備により、道路交通衝突事故に伴う死亡および障害の発生率に著しい影響を及ぼします。

・シートベルト、チャイルドシート、自転車およびオートバイの安全ヘルメット、視界補助具、オートバイライダーの保護衣、小児用安全装備など

 

4.安全運転速度 

 
  • 車両タイプ、交通量、気象状況をも考慮した安全運転速度順守で、事故は減らせます。

・天候や道路状況に適応した安全運転速度の順守は原則。

 (運転者の表示制限速度順守を支援する「速度監視カメラや速度リミッター」などの運転者監視装置も含まれます。)

 

5.運転者の適格性 

 
  • 運転者の健康状態(疲労、注意散漫、アルコールと薬物)を考慮した、適格性を管理することにより、事故は減らせます。

 ※ 運転者の「疲労、注意散漫、アルコール、薬物」等を事由とした

   道路交通衝突事故が多発しています。

     そうした運転者を乗車させない仕組みづくりが必要です。

 

6.安全な運行計画 

 
  • 無理のない安全な運行計画で、事故は減らせます。

走行の必要性(走行せずに、通信で可能な場合もある)、運行ごとの最も安全かつ適切な移動方法(徒歩、公共交通機関など)、最も安全な適切な経路を検討します。

 

7.車両の安全性

 
  • 車両の安全性を確保することにより、事故の緩和、及び事故は減らせます。

・道路交通衝突事故回避・緩和

・衝突時の乗客・乗員の保護、他の道路利用者の保護

・道路走行性

・車両の可能積載重量、積荷の安全確保

等を考慮して、車両の安全性を確保します。

 また、横滑り防止装置等の新技術によって安全を改善することもできます。

 

8.適切な運転免許

 
  • 運転している車両(二輪車両を含む)区分に応じた適切な運転免許を管理することで、事故は減らせます。

運転しようとするクラスに応じた運転免許は法律に従います。

さらに、運転手のふるまいに関する高い基準を設定することが望ましいです。 

 

9.不適格な車両及び運転者の道路網からの追放 

 
  • 車検切れなどの不適格な車両の利用や、免許停止など不適格に運転者には運転させないなど管理することにより、事故は減らせます。

・組織は、運転者の適格性確認を継続して行うと共に、会社独自の車齢制限なども効果的です。

 

10.衝突事故発生後の対応及び応急処置、緊急時の準備体制、

   事故後の回復とリハビリテーション

 
  • 事故発生時の対応方法を事前に準備し、事態に備えます。

これらの衝突後対応は、道路交通衝突事故に伴う死亡および障害の発生率に著しい影響を及ぼします。

・衝突事故発生後の対応

・応急処置

・緊急時の準備体制

・事故後の回復とリハビリテーション