貨物自動車運送事業法

緑ナンバー 貨物運送事業者が対象です。

 この法律は、事業許可、事業計画、約款、安全管理、事故報告、名義利用の禁止等原則基本規制などが記されています。 下位規定として

  • 国土交通省令「貨物自動車運送事業輸送安全規則」
  • 厚生労働告示「トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント」

などが公布されています。

 

 『貨物自動車運送事業輸送安全規則』では、貨物自動車運送事業者が遵守すべき事項 と乗務員が遵守すべき事項が記載されているほか、運行管理者を選任、業務をさせなければならないとされています。

運行管理者の業務

  1. 事業者により運転者として選任された者以外の者に、事業用自動車を運転させない。
  2. 乗務員が休憩または睡眠のために利用できる施設を適切に管理する。
  3. 事業者によって定められた勤務時問、乗務時間の範囲内で乗務割を作成し、これに従って運転者を乗務させる。
  4. 酒気を帯びた状態にある乗務員を乗務させない。
  5. 乗務員の健康状態(1年ことに1回、深夜業の者は6か月ことに1回健康診断)を把握し、疾病、疲労その他の理由により安全な運転をし、またはその補助をすることができないおそれがある乗務員を乗務さぜない。
  6. 長距離運転または夜間運転の場合で、疲労等により安全な運転を継続することができないおそれがある場合は、あらかじめ交替運転者を配置する
  7. 従業員に対し過積載運送の防止についての指導や監督を行う。
  8. 従業員に対し貨物の積載方法(偏荷重が生じないように積載すること。運搬中に荷崩れ等による落下防止のためのロープやシートがけを行うなど)について、指導や監督を行う。
  9. 運転者に対し、乗務の前後(乗務途中)の点呼を行い、報告を求め、酒気帯びの有無等の確認を行い、指示を与え、点呼の内容を記録し、その記録を1年間保存するとともに、アルコール検知器を常時有効に保持する。
  10. 運転者ことに乗務記録を記録させ、その記録を1年間保存する。
  11. 運行記録計を管理し、その記録を1年間保存する。
  12. 運行記録計が故障した車は運行させない。
  13. 事故が発生した場合、事故の概要を記録し、その記録を3年間保存する。
  14. 運行指示書(2泊3日以上の運行)を作成し、適切な指示を行い、運転者に携行させ、その記録を1年間保存する。
  15. 運転者ことに写真を貼りつけた運転者台帳を作成し、営業所に備え置くこと。
  16. 乗務員に対し、指導や監督を行い、その記録を3年間保存する。
  17. 死傷事故引き起こした特定の運転者に対する特別な指導を行い、その運転者に対して適性診断を受診させる。
  18. 異常気象時において、乗務員に対する適切な指示及び輸送の安全確保のための必要な措置をとる。
  19. 事業者により選任された補助者に対して指導及び監督を行う。
  20. 自動車事故報告規則第5条の事故防止対策に基づき、運行の安全の確保に関して、従業員に対し指導や監督を行う。
  21. 路線便などの特別積合せ貨物運送を行う場合は、乗務基準を作成し、基準の遵守について乗務員に対し指導や監督を行う。
  22. 運行管理者は、事業者に対し、事業用自動車の運行の安全の確保に関し必要な事項について助言を行うことができる。
  23. 統括運行管理者は、運行管理者の業務を統括する。

 

道路運送法

旅客自動車運送事業が対象

 貨物運送事業の基本法として「貨物自動車運送事業法」が独立制定されたのを受け、もともとあった「道路運送法」は、その条文のなかの貨物自動車運送事業に関する記述が「貨物自動車運送事業法の定めるところによる」と引用されるに留まり、法の主体は旅客自動車運送事業が対象となって現在に至っています。

 

 法律の章構成や条項目は、基本的に「貨物自動車運送事業法」策定時に本法を参照していることから、ほぼ同一です。 下位規定は、

  • 旅客運送事業には国土交通省令「旅客自動車運送事業運輸規則」
  • 厚生労働告示「バス運転者(タクシー運転者)の労働時間等の改善基準のポイント」

などがあります。